馬房(ばぼう)とは?馬房と厩舎の違い・馬房で注意する事とは?

 

馬房(ばぼう)とは?馬房と厩舎の違い・馬房で注意する事とは?

馬房(ばぼう)とは?馬房と厩舎の違い・馬房で注意する事とは?

馬房とは
馬房とは、馬が住んでいるお部屋のことです。私たちと同じように、馬も1頭1頭自分のお部屋を持っています。

馬房とは

 

自分のお部屋でのんびりと過ごすのは好きですか?
馬だって、私たちと同じようにプライベートな時間を過ごせる場所が必要です。そして、そんな彼らが1日の内の多くの時間を過ごすお部屋を「馬房」と呼びます。
日本では、馬を飼う建物を「厩舎」と言い、その中に複数の馬房が連なって並んでいる、というのが最も一般的な形式です。厩舎はマンション、馬房はその中の1室とイメージすれば分かりやすいかもしれないですね。
競馬や乗馬のように、馬が人を乗せて走ったりする姿はよく目にすると思いますが、実は彼らは1日のほとんどの時間を馬房で過ごします。ご飯を食べる時、寝る時、外での運動時間が終わってのんびりと過ごす時、馬房はそんなプライベートな時間を過ごす「自分のお部屋」なのです。
ちなみに、馬房の大きさはおおよそ2.5m~4m四方、高さは2~3mのものが多く、それぞれに引き戸かスライド式の扉、もしくは棒で塞ぐタイプの入口がついています。
壁は木製か金属製がほとんどで、風通しが良いように上半分は格子状になっていることが多く、床にはコンクリートに木のおがくずか藁が敷かれています。おがや藁の下にゴム板を敷く場合もあります。
また、放牧時は複数頭が一緒にいることもありますが、馬房は基本的に1頭につき1馬房となっています。

馬房で馬との接し方

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まず、馬房は馬のテリトリーであることを常に意識しましょう。誰だって知らない人が急に自分のテリトリーへ入ってきて、好き放題されたら嫌なものです。
馬房に入る時は、馬に声をかける等してこちらへ注意を向けてもらいましょう。馬は基本的に臆病な動物なので、急に入って驚かせてしまうと危険な場合もあります。
また馬房の中で馬と触れ合う時は、いきなり馬の目の前に手を出したり、馬から見えない位置から触ることは避けましょう。特に、人に慣れていない馬は、真正面から向かい合って顔を触ったりすることもNGです。驚いてつい手を噛んでしまうことがあります。
馬同士では、お互いの首(たてがみの辺り)や肩を軽く噛み合うことで好意を示します。
なので、馬に触る時は声をかけながら首や肩付近をぽんぽんと優しく触るようにしましょう。そうすると、馬もリラックスして受け入れてくれるでしょう。


馬にも様々な性格があり、人に懐いている馬もいれば、人見知りや人嫌いな馬もいます。接している時に、逃げるような仕草や怒っている素振りをしていたら、無理に距離を詰めずそっとしておいてあげることも大切です。ただし、人によく懐いていて自分から近づいてきたり、顔を擦り付けてくるような仕草をしている場合は、思い切り可愛がってあげるとより距離を縮めることが出来るかもしれません。
馬房の中で、馬に好物の人参等をあげることも仲良くなる1つの方法です。ただし、食事の制限のある馬もいるので、あげる時は必ずスタッフや飼育員に確認してからにしましょう。
テリトリーの中でのストレスは禁物です。どんな時も、馬房は馬にとってリラックスできるプライベートな空間であることを忘れないでください。

健康管理する方法

馬は繊細な生き物で、その健康管理はとても難しいものです。特に食べ物、日々の運動、馬房の環境は非常に重要と言ってよいでしょう。
健康な体を保つために、バランスの良い食事や運動が不可欠なのは私たちと同じですが、馬房の環境も実はとても大切なポイントなのです。
具体的には、おがや藁がよく乾いていて清潔であることが大切です。馬の蹄は、デリケートな部分である上に「第二の心臓」と呼ばれる程重要な役割を果たしています。馬房の床が湿っていたり不潔だったりすると、蹄の蹄叉という部分が病気になってしまい、その結果歩けなくなってしまうこともあります。
そのため、馬房の掃除は毎日行いましょう。おしっこをした部分の床材は新しいものへ取り替えてあげ、ボロ(馬の糞)も定期的に取り除いて常に清潔な状態を保ちましょう。
また、馬の病気の中で発生率の高いものとして疝痛というものがあります。簡単に言うと腹痛です。「なんだ、お腹が痛いだけか」と思われるかもしれないですが、実は馬にとってはとても危険な病気の1つです。馬の疝痛は殆どの場合、腸内に排泄物が溜まってしまうことで生じます。状態の酷い場合は手術が必要であったり、最悪死んでしまうこともあります。
その原因は食べ物に問題がある、水をちゃんと飲んでいない、運動不足等様々ですが、必ずと言ってもよい程起こる症状の1つに、「ボロが出ない」というものがあります。
毎日の馬房掃除は、蹄のためだけではなくその馬がちゃんとボロが出ているかをチェックする機会にもなるのです。

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馬房での気をつけないといけないこと

馬房の中で気をつけないといけないことはたくさんありますが、特に大切なのは馬を驚かせないこと、常に馬の動きを見ること、そして馬の後ろに立たないことです。
穏やかな馬でも、大きな音等にびっくりしてパニックになってしまうととても危険です。馬房という限られた空間の中で、体重500㎏の大きな動物がパニックになって暴れてしまうと人も馬も大怪我につながってしまいます。
そして、馬房の中に限ったことではないですが、馬のお尻側、特に真後ろへは絶対に回らないようにしましょう。馬の視界は非常に広く、殆ど360度見渡せると言われています。しかし真後ろだけは死角となっています。そして、馬の動きの中で最も危険なのは、後ろ足の蹴りです。大人しい性格で人に懐いている馬でも、びっくりした時に咄嗟に跳ねたり蹴ったりすることがあります。馬房では逃げる場所がないので、常に馬の動きをよく見て、自分の立ち位置が馬の後ろ側にならないように気をつけましょう。
また、馬房の中での意外と多い事故として、足を踏まれてしまうというものがあります。ほとんどの馬は、蹄鉄という金属を蹄の裏に装着しており、これで踏まれるとかなり痛いです。もし踏まれてしまった場合は、無理に足を引き抜こうと動くと大きな怪我へつながることもあるので、焦らずに馬の肩を押して踏んでいる足を退けてもらいます。
もちろん踏まれないことが1番なので、馬の動きに常に気を配りましょう。

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馬房内での馬の行動(悪癖)

繰り返してしまう良くない行動を悪癖と呼びますが、馬は殆どの時間を馬房で過ごすため、必然的に悪癖も馬房の中でやってしまうものが多いです。悪癖は原因を断定することが難しく、ストレスからやってしまうことあれば、他の馬がやっているのを見て真似していたらいつのまにか癖になってしまったということもあります。
ここでは有名な悪癖を3つ紹介したいと思います。
まずは「さく癖(別名グイッポ)」です。空気を飲み込んでしまう悪癖ですが、馬は人と違って鼻でしか呼吸が出来ません。そのため口から飲み込んだ空気は食べ物と同じように胃や腸へと運ばれていきます。しかし、まれにお腹に空気が溜まってしまい疝痛を引き起こすこともあるのです。ちなみに、空気を飲む際は人間のげっぷのような音を発します。
2つ目は「熊癖(ゆうへき:別名ふなゆすり)」です。左右にゆらゆらと揺れてしまう悪癖です。貧乏揺すりのようなイメージですが、左右の足に順番に重心を移してゆっくりとしたステップを踏みます。短い時間なら問題なさそうですが、1日中やってしまうような場合は、足や蹄に普段がかかってしまいます。
3つ目は「旋回癖」です。これは馬房の中でクルクルと回り続けてしまう悪癖です。ほとんどの場合、同じ方向に回り続けるため、馬の体の左右のバランスが悪くなってしまいます。

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まとめ

馬房は、馬にとってとても大切な空間です。馬が、健康に気持ちよく過ごせるよう、常に綺麗な状態を保ち、その中では馬のプライベートを尊重してあげましょう。いきなり中へ入って無理に触ったりせず、馬の様子を観察しながらコミュニケーションをうまく取れると、馬の方から歩み寄って来てくれるかもしれません。
同時に、馬房は馬のテリトリーなので、危険もたくさん潜んでいることも忘れないでください。不必要に驚かせてしまうと、身を守るために咄嗟に攻撃してくることもあるかもしれません。馬は臆病な動物なので、大声や急な動きで驚かせないように気をつけ、絶対に馬の後ろ側に立たないようにしましょう。

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