乗馬の前後に取り入れたいストレッチ 後編

乗馬の前後に取り入れたいストレッチ 後編

先日更新した前編では、
・ストレッチとはなにか?
・ストレッチをせずに運動すると起こりやすい危険
・乗馬運動前に取り入れるとよいストレッチ などをご紹介しました。

後編では、乗馬をした後、しっかりと働かせた筋肉のこわばりを取り、リラックスした状態へと整えていく「クールダウン」としてのストレッチ方法をご紹介していきます!

 

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乗馬をすると、身体の中のどの部分の筋肉を使うことになるのでしょうか?
例えば、ゆらゆら揺れる馬の背中でバランスを保つときは、腹筋や背筋などの「体幹」。
その上半身をサポートするために、太ももの筋肉を使って馬のお腹を挟みます。
必要に応じて鐙を踏み込むときは、ふくらはぎや足首の柔軟性が必要になりますよね。
このように、乗馬は全身の筋肉をまんべんなく使うことのできるスポーツです。

加えて、生きて感情がある動物である「馬」と一緒に運動をしているので、常に自分の思った通りの動きをしてくれるわけではないですよね。跳ねたり、急に止まったり、走り出したり‥、不意の馬の動きや反応にも私たちはその都度対応する必要があります。

 

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その結果、乗馬をした日の夜や翌朝、身体がガッチガチにこわばってしまっている‥こんな経験は皆さん身に覚えがあるのではないでしょうか。

そんな乗馬後の「アイタタ‥」を防ぐためにも、ぜひストレッチを取り入れてみましょう!

クールダウンって何?

運動する前の準備運動を「ウォームアップ」 運動した後の整理運動を「クールダウン」といいます。 乗馬などの激しい運動をしたあとに急に動くのをやめてしまうと、心拍数が上がったままになりめまいや立ち眩みを引き起こしたり、運動で筋肉に溜まった疲労物質をそのまま身体に残してしまうことになり、その後疲労感や筋肉痛を感じやすくなってしまいます。
運動の後にストレッチを行うことで、こわばった筋肉を柔らかくほぐして怪我や筋肉痛を緩和し、心拍数や血液の循環を正常な状態に整える効果が期待できるんです。

前編でご紹介した「乗馬前のストレッチ」では、身体に弾みをつけながら動かして筋肉をほぐす「ダイナミック(動的)ストレッチ」をご紹介しました。
乗馬後の身体を休める目的のクールダウンには、「スタティック(静的)ストレッチ」がおススメです。

スタティック(静的)ストレッチとは?

筋肉を伸ばした状態で一定の時間(30~40秒ほど)キープし、ゆったりとた呼吸を繰り返すストレッチ方法です。 皆さんが「ストレッチ」と聞いてまず想像するのはこちらのスタティックストレッチではないでしょうか。ケガをするリスクが少なく、だれでも取り入れやすいストレッチ方法の一つです。

ストレッチを行う上でいくつかポイントを押さえておきましょう。

・息を止めない
息を止めてしまうと筋肉が硬くこわばってしまうので、ストレッチの効果が半減してしまいます。
・反動をつけない
筋肉は急激に伸ばそうとすると、断裂を防ごうとして反射的に収縮してしまいます。
ケガをしてしまうおそれがありますので、反動をつけずにじっくりと伸ばしてあげましょう。
・身体が温まった状態で行うのが◎
先ほどお話しした通り、ストレッチは筋肉が温まって柔軟性がアップしているときに行うとより効果的。乗馬の直後や、入浴の後のタイミングに行うのがよいでしょう。

乗馬の後に効くストレッチ

【首、肩回り】
新しい練習を始めたり、気難しい馬に四苦八苦すると、肩や首に力が入って騎乗姿勢がどうしても前屈みになってしまいがち。 前傾姿勢は馬上でバランスを崩しやすく、馬が急に首を下げたり減速した際に落馬する危険もあります。なにより首と肩が凝るとつらいですよね。 ゆっくり大きく動かして緊張をほぐしていきましょう。

・座って姿勢を正し、右手を左の側頭部(耳のあたり)に添えます。
息を吸って、吐きながら頭をゆっくり右側に倒していきましょう。右手の重みを感じる程度で、左側の首筋がじんわり伸びていくのを感じます。 そのまま30~40秒ほどゆっくりと呼吸を繰り返し、息を吸うタイミングで頭をもとの位置に戻します。反対側も行いましょう。

・姿勢を正し、次は右手を後頭部の左側に添えます。 息を吸って、吐きながらゆっくり頭を右斜め前に倒します。さきほどよりも首筋のうしろ側が伸びるのを感じるかと思います。そのまま30~40秒呼吸を繰り返し、息を吸うタイミングでゆっくり頭を戻します。反対側も。

次は首の真後ろを伸ばしましょう。
・両手を頭の後ろで組み、姿勢を正します。息を吸って、吐きながらおへそを覗き込むように背中を丸めます。頭に載せている手の重みで首の後ろ、背中の上部分がじんわりと伸びていきます。
そのまま30~40秒ゆっくりと呼吸を繰り返し、息を吸うタイミングで元の姿勢に戻ります。

・両手を肩の位置で広げ、顔の前に持ってきて両肘を合わせます。
肘と両手を合わせたまま腕を上下にゆっくり動かし、胸を大きく開くように腕を広げます。
このとき、胸を前に押し出すように、肩甲骨を寄せ合うのを意識すると気持ちよく伸ばすことが出来ます。腰が反らないように気をつけてくださいね。
上げる、開く動作で息を吸い、下げる、閉じるの動作で息を吐くとスムーズです。

・細長く丸めたフェイスタオルを背中の後ろに回し、上下の端を持ちます。
自分のできる範囲でタオルを身体から少し離し、上下に動かします。
タオルを後ろに回した状態でゆっくり呼吸を繰り返すだけでも、肩甲骨周りがじんわりと柔らかくなっていきます。息が止まらない程度の、気持ちいいと感じる状態を探してみてくださいね。

【背中、腰】

馬が走っているとき、私たちはその馬の背のリズムに随伴、つまり身体の動きを合わせる必要があります。とくに乗馬は下からの突き上げの動きが強く、タイミングがずれると背中や腰に強い衝撃を受けることになります。それが原因で腰や背中に痛みをズキッと感じることも。
慢性的に痛めることのないように、乗馬の後にはしっかりほぐしてメンテナンスをすると良いでしょう。

 

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四つん這いになり、両手は肩の下、膝は腰骨の真下に置き、つま先は立てておきましょう。
呼吸を整え、お腹に少し力を入れて背中をまっすぐの状態にします。
息を吸いながら両手で床を押し、おへそを覗き込むように背中を大きく丸めます。吐きながら背中をそらせ、お尻を後ろに突き出します。 大きくゆっくりとした呼吸をしながら、吸ってまるめ、吐いてそらす、を繰り返します。 骨盤も背中の動きに合わせるように連動させて動かしていきましょう。

【股関節】

乗馬後に一番筋肉痛が出やすいのが股関節周りではないでしょうか。
脚を大きく開いて鞍に座り、上体を安定させるために馬体を内ももで挟む、速歩や駆歩で骨盤を動かし随伴させる‥などなど、馬に乗っていると股関節は大忙し。
さらに股関節は普段あまり意識して運動することは少ないので、筋肉痛を特に感じやすいといわれています。 こまめにストレッチをして痛みを和らげ、柔軟性を保ちましょう。

・床の上で右膝立ちになります。床につく左膝が痛いときは、膝の下にタオルを挟んであげましょう。両膝が90度になるように脚を開き、後ろのつま先は立てておきます。
1、体重を立てた右脚にゆっくり移動させ、胸を開き、ゆっくりと呼吸します。
左太ももの前がぐーっと伸びるのを感じましょう。痛くない場所でキープ。
2、息を吸うタイミングで上半身をもとの位置に戻します。
3、体重を後ろに移動させ、右つま先が上を向くようにします。このとき背中が丸まらないように、しっかり骨盤を立てておきましょう。右もも裏が伸びていますか?
4、息を吸うタイミングで、上半身をもとの位置に伸ばします。

【もも裏、ふくらはぎ】

脚扶助を正しく使うにはかかとを下げ、鐙をしっかりと踏む必要があります。その際に使うのがこの部分。 鐙は軽く踏み、乗るというよりは支える程度が理想ですが、どうしても力が入ってしまうこともありますよね。 ギュッと固まった脚の裏側をじんわり伸ばすことのできるストレッチをご紹介します。

四つん這いになり、一度お尻を落として上半身の力を抜きます。
息を吸ってお尻を持ち上げ、吐きながらお尻を後ろのほうに押し出していきます。
身体全体で大きな三角形を作るイメージ。かかとがついているほうがより伸びますが、少しつらい場合はかかとを浮かせて、少し膝を曲げた状態でも気持ちよくストレッチすることが出来ます。
目線は膝のあたり。深い呼吸を繰り返しながら、一番気持ちよく伸びる場所を探していきましょう。

まとめ

 

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今回は乗馬のあとに身体をリラックスさせていくストレッチをご紹介しました。
乗馬の後にストレッチをすると、柔軟性を取り戻すのと同時に、今日は自分の身体のどの部分を使ったのか、使えていないのか、に気づくことが出来ます。 首が痛いなら上半身に力が入っていた、お腹周りが痛いのであればしっかり腹筋を使えていたな‥。などなど、次のレッスンへの対策にもストレッチはとっても有効なんですよ。
決して無理をせずに、たくさん運動した自分の身体や筋肉をいたわってあげてくださいね。

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