乗馬の前後に取り入れたいストレッチ 前編

乗馬の前後に取り入れたいストレッチ 前編

馬に乗る前・乗った後、ストレッチしてますか?
乗馬の際にストレッチをうまく取り入れることで、あなたの身体の動きやパフォーマンスがぐんと向上できるんです。 今回の記事では「乗馬で身体を動かす前の準備運動としてのストレッチ」、後日更新する後編では「運動後の身体を休めるためのストレッチ」の2つのシチュエーションに合わせたストレッチ方法をご紹介していきます!

ストレッチをすると何がいいの?

ストレッチ(stretch)とは、英語で「伸ばす」という意味。身体の中にある筋肉を良好な状態へと整える目的で、その筋肉を引っ張って伸ばす運動のことを指します。筋肉の柔軟性を高めて関節の可動域(動く範囲)を広げたり、動きに合わせて呼吸を規則正しく繰り返すことで精神的な緊張をほどき、心身のコンディションを整えるといった効果もあります。
馬は騎手が緊張しているのがニガテ。しっかり身体をほぐして騎乗することで、馬もよりリラックスして運動してくれるようになりますよ。

 

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その他の効果としては、

・血行促進
柔軟性の低いカチカチの筋肉は、血液の循環を滞らせてしまいがち。ストレッチをして筋肉を柔らかくすることで血行がスムーズになります。身体がぽかぽかと温かくなり、基礎代謝アップやむくみ防止にも。乗馬は消費カロリーの高いスポーツですので、ぜひ組み合わせて効率よく脂肪を燃焼していきましょう!

・運動パフォーマンスの向上
運動前にストレッチをすることで、筋肉の温度が上がってスムーズに身体を動かしやすくなり、さらに脳から筋肉へと命令を伝える神経が活性化して、瞬発的な動きをより取りやすくなる効果あり。 レッスンを効率よく行えるだけでなく、馬の急なスピード変化や尻っ跳ねなども慌てず対応できるようになります。

 

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ストレッチをせずに運動すると‥

運動していないときの筋肉は運動時より温度が低く、柔軟性が低下しています。
身体が眠っているような状態で急に激しい運動をすると、筋肉や腱などを損傷してしまうことがあります。

 

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例えば、無理に鐙を踏み込んで肉離れを起こしたり、不意の馬の動きに対応できずに肩や腰などを痛めてしまうことも‥。
一度筋肉を大きく傷つけてしまうと治癒には長い時間がかかり、レッスンや日常生活にも支障をきたしてしまいます。
そんな怪我を予防するためにも、身体を運動にスイッチするストレッチがとても重要になってくるんです。

乗馬する前に行うストレッチ

ここでの目的は、運動前に筋肉の柔軟性を高め、固まっている身体をスムーズに動かしやすくしていくことです。

ストレッチには大きく分けて「ダイナミック(動的)ストレッチ」と「スタティック(静的)ストレッチ」の2つがあり、それぞれ特徴や目的に違いがあります。
運動前の今回はダイナミック(動的)ストレッチを選択します。

【ダイナミックストレッチとは?】
「動的」の名前の通り、身体をリズムよく動かして筋肉に刺激を与えることで、関節の可動域を広げ、筋肉の温度を上げることができます。ラジオ体操の動きを想像していただくとイメージがつきやすいかと思います。
このストレッチのポイントは、
・息を止めない
息を止めると酸素が筋肉に行き渡らずに硬くなってしまい、ストレッチの効果が半減します。
・反動をつけず、できる範囲で動かす
反動をつけると、自分の可動域以上に筋肉を動かしてしまい、ケガをする危険があります。
決して無理をせず、自分の身体と相談しながらすこしずつ動かしていきましょう!

【肩・肩甲骨の周り】

手綱を操作する際、腕力に頼っていませんか?
馬の繊細な口に接続された手綱を腕の力だけでグイグイと引っ張ってしまうと、扶助がうまく伝わらないうえにハミが安定せず馬を怒らせて悪循環に陥ってしまいます。
そもそも相手は体重500kgの大きな動物。力勝負の綱引きには勝てっこありません。
肩甲骨まわりを柔軟にし、肩、背中全体を使って手綱を引くように意識を変えてみると、驚くほど少ない力で馬を制御することができるようになります。

・身体の前後で拍手をするようにして肩甲骨、胸周りを開いていきましょう。
後ろで手同士がつかなくても大丈夫。手が身体から一番遠いところを通るように大きく丸く、腕を水平に動かします。

・身体の前で前ならえをするように腕を伸ばします。
手のひらを下にして、肩甲骨を意識しながら肘を後ろに引きよせ、同時に手のひらを上に返します。肘を引くときにフッと息を吐き、前に腕を戻すときに吸います。

・腕を斜め上45度に伸ばし、先ほどと同じように肩甲骨を意識しながら肘を引きます。
吸って腕を伸ばし、吐いて肘を引く。肩甲骨の下側を動かしていきましょう。
おへそのあたりに力を入れると、大きく腕を動かしても身体がぶれにくくなります。

・腕をバンザイするように上に大きく伸ばし、手のひらは身体の外側に向けます。
肩甲骨を寄せ合うように、手のひらが内側を向くようにひねって腕を曲げて下ろします。
吸って腕を持ち上げ、吐いてすとんと背中側に肘を寄せる、を繰り返します。

【股関節】

 

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股関節を柔らかくすると、馬の背中の上でより安定した騎座を取れるようになり、脚を長く使うことが出来ます。速歩や駆歩に随伴する腰の動きもよりスムーズに。
一度あおむけになって、足首を左右にパタパタ動かしてみてください。足首を動かすと、意識していなかった股関節までしっかり動いていますよね。馬が聞いてくれる有効な脚扶助を出すためには、その根元の股関節を事前にメンテナンスしておくのが大切です。

・壁に手をついて、脚を振り子のように左右に大きく動かします。
お腹に力を込めて体幹をしっかりさせておくと、腰や背中を痛めにくくなります。最初は小さく、慣れてきたら揺れを徐々に大きくしていきましょう。

・お相撲さんが四股を踏むように、脚を大きく開いてから腰を落とし、その位置で小刻みに上下します。膝に手をついて行うと強度を下げることが出来ます。
フッフッフッとリズムよく吸って吐いて。息を止めずに股関節周りをほぐしていきましょう。

【太ももの裏、背筋、腹筋】

背筋、腹筋は上半身の動きを支える体幹の一部。乗馬でもっとも必要な筋肉は、馬の背中で身体を安定させる体幹と言っていいでしょう。ここがしっかりしていれば、拳や脚の扶助に強弱をつけやすくなりますよね。
もも裏の筋肉・ハムストリングスは脚の筋肉の中でも大きい部分で、馬体にフィットさせて下半身を安定させる要になります。しっかりウォームアップして騎乗姿勢を整えていきましょう。

・足を肩幅に開いて立ち、まず前屈。つま先に重心を移すともも裏が気持ちよく伸びます。
身体を起こし、腰に手を当て軽く後屈します。この時腰を痛めないようにお腹とお尻に力を入れるといいでしょう。立ち眩みを起こしやすい方は、前屈・後屈の動作をゆっくり行うと軽減されます。身体に負担がない程度で、少しずつ動きを大きくしていきます。

まとめ

今回は乗馬前に行うとよい、身体を大きく動かすストレッチ方法をご紹介しました。
眠っていた身体を起こしてしっかりと準備運動をすることで、姿勢は安定、よりよい馬上のパフォーマンスを生み、さらに望まないケガを防ぐ効果もあります。ぜひ取り入れてみてくださいね。
後編では、乗馬の後の疲れた身体を癒すストレッチ方法をご紹介していきます。お楽しみに。

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